薫子様、一大事でございます!
第3章
花火の夜
「やっぱり思った通りだね。ピッタリだ」
鏡の前に立つ私の肩に手を置き、芙美さんがニッコリ笑う。
「お古なんて、薫子ちゃんには失礼かと思ったんだけどね」
「いえ、とっても嬉しいです」
ベージュ色の生地に色とりどりの花が描かれた浴衣。
娘さんのお古だと言って芙美さんが着せてくれたのだった。
肩まであった髪の毛も、芙美さんが器用に結ってくれた。
「さて、二人とも待ってるだろうから行こうか」
芙美さんに連れられて、用意された下駄を履いて庭へと降りる。
調査成功を祝して、芙美さんが花火をやろうと誘ってくれたのだ。