薫子様、一大事でございます!
結婚式の翌日、事務所を訪れた星野さんは、予想もしていないことだったと振り返った。
途中経過の報告を聞いたあと、実は別れようかとも考えていたことを明かして、私たちをヒヤヒヤさせたのだった。
これには北見さんも、申し訳ないことをしたと謝ったのだけれど。
ともかく、二階堂探偵事務所は、2度目の報酬を受け取ることに成功したのだ。
あ、もちろん、北見さんへのお給料も、その中から支払うことができて、北見さんじゃないけれど“めでたしめでたし”で終われたのだった。
「はいはい、お待ちどうさまでした」
「これはこれは……。薫子様、お美しゅうございます」
「やだ、滝山ったら」
浴衣なんて、何年ぶりだろう。
大学を卒業した年あたりに、父と母と三人で夏祭りに出かけて以来だ。