薫子様、一大事でございます!
ちょっと気恥ずかしい思いで北見さんを見ると、視線をサッと外されてしまった。
……あれ?
“馬子にも衣装だな”なんて言ってからかわれるとばかり思っていたから、ちょっとした肩透かしだった。
「それじゃ、まずは乾杯でもしようかね」
缶ビールまで用意してくれた芙美さん。
縁側に並んで座り、それぞれ1本ずつ受け取った。
乾杯の後、冷えたビールに口を付ける。
思えば、ビールを飲むのも久しぶり。
久々のアルコールで、身体が驚かなきゃいいけれど。
「では早速、花火とまいりますか」
芙美さんが縁側に置いた花火の袋を、滝山が破いて中身を取り出す。
打ち上げ花火もあるようだった。