薫子様、一大事でございます!
「こう見えても、花火に火を点けるのが苦手でねぇ。いつも主人任せだったっけ」
目の前にそのときの光景が広がっているのか、芙美さんがいつにも増して優しい表情を浮かべた。
旦那様とは、本当に仲が良かったに違いない。
いつか私も……。
と思うけれど、恋愛すら満足していない私には想像に難しい。
「今、芙美さんを羨ましいと思っただろ」
隣から北見さんに耳打ちされて、思わずパッと身体を反らす。
「ど、どうして分かったんですか?」
「顔に書いてある」
――えっ。
咄嗟に頬を隠すと