薫子様、一大事でございます!

目を庭へと戻す途中で、不意にぶつかった北見さんの視線。


……ん? なんだろう。


小首を傾げると、北見さんはフッとその視線を外して


「似合ってる」


ボソッと呟いた。


「……はい?」

「浴衣だよ」

「えっ……」


思いもよらないセリフが、私から言葉を奪った。


「……綺麗だ」


一瞬のうちに顔に火の手が上がる。

耳まで真っ赤になっているのが自分でも分かった。

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