薫子様、一大事でございます!
「法に触れないことが前提ですが、あとはお話を伺ってみないことには……」
一体どんな依頼をするつもりなんだろう。
相手を北見さんにお任せして、私はデスクからその様子を眺めていた。
「法律には触れないと思います」
「どのような依頼を?」
訊ねた北見さんに、その男性は意を決したように言うのだった。
「恋人になってもらいたいんです」
「……はい?」
恋人に……なる……?
滝山も北見さんも、私も何のことかと口をポカンと開けた。
「あの……それはどういうことでしょうか?」