薫子様、一大事でございます!
……大丈夫、よね?
ただのフリだもの。
北見さんはピクリと一瞬眉を動かした後、早川さんへと向き直った。
「やっていただけるんですね?」
早川さんが先走る。
「はい、お受けします」
「ちなみに、こちらの彼女以外に女性は?」
「……はい?」
「好みのタイプとは違うので……」
――はい!?
少しばかり申し訳なさそうに言う早川さんの前で、北見さんは「ぷっ」と小さく噴き出した。
……ひどい。
二人とも。