薫子様、一大事でございます!
いざ、恋人代行本番
そして、いよいよ当日。
恋人代行本番の日を迎えた。
迎えに来た早川さんとタクシーに乗り込む。
北見さんは、滝山のバイクを借りて追走してくれるらしかった。
「Sホテルまでお願いします」
早川さんが運転手に告げ、タクシーが走り出した。
今日は、この前の練習とは訳が違う。
絶対に嘘だとバレてはいけないのだ。
そう思うと、緊張が身体を駆け抜ける。
何気なく後ろを振り返ると、北見さんの乗るバイクが見えた。
「どうかした?」
私の視線を追って、早川さんの目線が後ろへ逸れる。