薫子様、一大事でございます!

「薫子です、初めまして」

「望月です。それから、こちらは、」

「沙織です、初めまして」


綺麗な人だった。

私より2つ3つ年上に見える。


一通り自己紹介が終わり、私たちの前へと座った望月さんと沙織さん。

椅子を引いて沙織さんを座らせてあげたり、望月さんはスマートで優しそうな人だ。


飲み物だけ先に頼んでしまった私たちを見て、望月さんが「沙織は何を飲む?」と訊ねる。


「そうねぇ、悟は何にするの?」

「俺はジントニック」

「それじゃ私は……」


私たちとは違って、これぞ恋人同士という空気が漂ってきた。


……当然のことだけれど。

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