薫子様、一大事でございます!
思わず両頬を手で隠す。
「ハハッ、薫子ちゃんって面白いな。冗談だよ、冗談」
「天然だから、あんまりからかうなよ」
“天然”。
そんなことはないと思うけど。
どこか釈然としない。
「大学の頃は、よく誰もいない教室に女の子を引き入れてイヤらしいことしてただろ?」
「――望月! 余計なことは言わなくていい」
早川さんって、そういうことするタイプだったんだ。
ちょっと強引なところはあるけれど、教室でそんなことするようなタイプには見えなかった。
「ほら、薫子が誤解するだろ?」
「――あ、ううん。私は別に……」
「ごめんごめん、薫子ちゃん。まだ付き合って日が浅いって言ってたもんな。早川の本性はバレてないってことだ」