薫子様、一大事でございます!
「もーちーづーきー」
早川さんが低い声で制した。
「もう、ごめんね、薫子ちゃん。悟っていつもこうなの。余計なこと言って人を困らせるのが趣味みたいで」
沙織さんがフォローに入る。
「おいおい、人を困らせるのが趣味って、ヒドイ言われようだなぁ」
「早川さんも薫子ちゃんも困ってるじゃない」
……いえ。
私は本当に何も困っていないのだけれど……。
強いて言うなら、早くこの仕事が終わってほしいということだけ。
「沙織さん、私なら大丈夫です」
「悟ったらね、多分二人が羨ましいのよ。付き合いたてで初々しいから」
「ま、それはあるな」
望月さんが沙織さんの言葉に頷く。