薫子様、一大事でございます!
「悪い悪い。薫子ちゃんの純情っぷりがツボでね」
「悪かったわね、純情じゃなくて」
沙織さんに睨まれて、そこで初めてシュンとした望月さん。
「沙織には色気があるから」
沙織さんの髪にチュッと軽くキス。
それに応えるように、沙織さんは妖艶に微笑んだ。
……色気。
確かに。
身体のラインを強調したような服を着ているわけではないのに、どこからか漂う色香。
私にはきっとないであろうものに、羨ましさを感じずにはいられない。
そんな沙織さんに気圧されて、少し疲れてしまった。
「ちょっと失礼します」
トイレに立つフリをして席を離れた。