薫子様、一大事でございます!

ラウンジを出て、大きく息を吐く。

彼女のフリがどうこうより、望月さんと沙織さんの方が強敵かもしれない。


少し歩いたところにあった小さなベンチに腰を下ろした。

ちょっとだけ休憩していこう。



「大丈夫か?」

「……北見さん」


その顔を見たせいか、ホッとして力が抜ける。

でも、弱音を吐いている場合じゃない。


「全然大丈夫です」


握り拳を二つ作って振って笑って見せる。


「無理するな」


ポンと頭を撫でられた。

同時に、トクンと鳴った胸の鼓動。

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