薫子様、一大事でございます!

「DCHが……?」


まさかそんな、とは思ったものの、用心に越したことはない。

あんな人に捕まるのなんて、まっぴらごめん。


でも、それじゃ……


「一体どうしたらいいの?」

「このまま見過ごすわけにも参りません。ひとまず、事務所まで連れて行きましょう。幸い、すぐ近くまで来ておりますし」


言うなり、滝山はゴミ山を漁り、大きな段ボールを引っ張り出した。


「これに載せてまいりましょう」


道路に段ボールを敷き、倒れている男の人の脇の下に手を入れた。


手伝おうと出した手は、「私にお任せくださいませ」という滝山の言葉に止められた。

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