薫子様、一大事でございます!
ちゃんと送り届けるって言ってくれてたし……。
「俺があそこで入らなかったら、どうなってた?」
さっきのシーンを思い返してみる。
早川さんの顔が迫ってきて……。
もしかしたらキスされてたかもしれない。
そう考えると怖くなる。
それだけで済めばいいけれど、何が起こるかなんて分からない。
「想像できたか?」
「……はい」
震え出した身体を北見さんが、片手でギュッと抱き締めてくれた。
足元がおぼづかない私を支えるためだとは分かっていながら。
そうされるだけで胸が悲鳴を上げる。