薫子様、一大事でございます!

ゴミの山からズルズルと引き出すと、男の人の口から「うっ」という呻き声が漏れた。


こんなところに倒れているなんて、尋常じゃない事態には違いないけれど、死体じゃなくて本当によかった。



誰か人目にでもついたら大変だとヒヤヒヤしながら、なんとか無事に事務所へ辿り着いた私たち。


さすがに、男の人を担いで3階まで階段で上った滝山は、ソファへ横たえると、息が切れてその場に座り込んでしまった。


「大丈夫?」

「……ええ……だいじょう……ぶで……ご、ざいま……す」


肩で大きく息をしながら切れ切れに答える。


それよりも心配なのは、目の前に倒れている男の人だった。


目立った傷は顔以外には見られないけれど……。

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