薫子様、一大事でございます!
「身分詐称じゃないですか」
「あっちが勝手に勘違いしたんだ」
憮然と言い放つ。
「マスターキーを借りて、無事突入したわけだ」
「ドラマみたいですね」
「笑いごとか。こっちは必死だったんだぞ?」
頭で小突かれた。
イタタ……。
「カコちゃんの携帯は通じないし」
「すみません、電池切れで」
「ったく、持ってる意味がないだろ」
反論の余地もない。
「すみませんでした。……それと、ありがとうございます」