薫子様、一大事でございます!

「カコちゃんの両親は、今そこにいる」


持っていた調査書を北見さんが指差す。

そこには、遠く離れた住所が記載されていた。


二階堂家とは全く縁も所縁もない土地。


そこにお父様とお母様が……。


「直接確認したわけじゃないが、二人とも元気だ」

「そう、ですか……」


嬉しい反面、胸が苦しかった。


「なんだ、嬉しくないのか?」


首を横に激しく振った。


「嬉しいです。……でも……」

「会いに行くんだろ?」


当然のことのように北見さんが訊ねる。

< 319 / 531 >

この作品をシェア

pagetop