薫子様、一大事でございます!
病院へ行かなくても本当に大丈夫?
不安げに見つめる私に、いつの間に回復したのか、滝山がタオルを冷やして持って来た。
「これでその血を拭ってあげてください」
「……わ、わかったわ」
タオルを持った手を怖々近づける。
それを唇にそっと当てると、男の人の顔が苦しそうに歪んだ。
――ひゃっ!
慌ててタオルを引き離す私の隣で、滝山はその足や腕をしきりに調べていた。
「腫れているところはありませんから、骨が折れたりはしていないようですね」
……よかった。