薫子様、一大事でございます!
二人に会いに……私が行ける?
頷く気にはなれなかった。
「ご両親も待ってると思うよ?」
芙美さんが北見さんの言葉を後押しする。
「……私が二人をこんな目に合わせたんです」
私が結婚を承諾していれば、お父様もお母様も会社と家を失うことはなかった。
DCHとの結婚なんてありえない。
そうやって笑い飛ばしていたけれど、心のどこかでそれを否定する自分もいて。
間違った選択だったのかもしれないとビクビクしていた。
私のせいで、二人を不幸にしてしまったから。
輝くべき二人の未来を私の選択肢が変えてしまったから。