薫子様、一大事でございます!

「薫子様、芙美さんの言う通りでございます。旦那様も奥様も、薫子様のことを恨んだりなんてことは絶対にありません」


北見さん、芙美さん、滝山が揃って私を見つめる。


ここで会いに行かなかったら、後悔するのは私の番になってしまう。

それじゃ前には進めないから。


「……会いに行きます」


満を持して出した私の結論に、三人ともパッと顔を輝かせた。


「滝山、一緒に行ってくれるわよね?」

「もちろんでございます!」


滝山は大きく頷いた。


「芙美さん、ありがとうございます」

「やだねぇ、いいんだよ、全然」


芙美さんが手を大きく振って笑う。

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