薫子様、一大事でございます!

私の返事を聞くと、滝山は準備のためか事務所を出て行った。


「薫子ちゃん、頑張っといで」

「……はい。ありがとうございます」


芙美さんは私の肩を優しく抱くと、「気をつけてね」と言い置いて事務所を後にした。


今からお父様とお母様に……。

嬉しいのと緊張するのとで、心臓が早鐘を打ち出す。


どういう顔をして、なんて言葉をかけたらいいんだろう。


急に迫った再会が、私を焦らせる。


すぐそばに北見さんがいることすら頭から抜けていて


「まさか、」


北見さんの発した言葉に驚いてしまった。


「NIKAIDOHのお嬢さんだったとはね」

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