薫子様、一大事でございます!

「鍵が開いているということは、この近くにいらっしゃるんでしょうか」

「……そうかもしれないわね」


二人で敷地内をキョロキョロと見渡す。

すると、家の左側付近に、その奥へ抜ける細い道を見つけた。


「滝山、あっち……」


その方向を指差す。

庭にいないとなれば、考えられるのはあの抜け道の先。


「行ってみましょう」


滝山の後に続いた。


いよいよ、この先に二人がいるのかも。

そう思うと、足取りは重くなる。


ここまで来たというのに往生際が悪い。

芙美さんにはああ言われたけれど、いざ会うとなると怖くなる。

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