薫子様、一大事でございます!
何度考えてみても、辿り着くのはその答え。
繰り返す“たられば”。
「そうさせたのは、私だ」
そう言ったのはお父様だった。
陽に焼けて黒くなった顔。
お母様同様、農作業の格好は、スーツ姿しか知らない私には衝撃だった。
「薫子には辛い思いをさせたな。……本当に悪いことを。すまん……」
最敬礼とばかりに頭を下げる。
「お父様! やめてください!」
慌てて頭を上げてもらった。
「薫子、本当にごめんね。ずっと後悔してたのよ。無理に結婚の話なんて進めなければ、こんなに遠く離れたところでも薫子と一緒だったのにって」