薫子様、一大事でございます!

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「これ、お母様が全部作ったの?」


目の前のテーブルに次々と運ばれる料理の数々。


私が知る限りでは、お母様の料理の腕前だって私と似たり寄ったりのはず。

キッチンに立つ姿は多分、見たことがない。


いつだって専属の料理人が何でも作ってくれたから。

エプロン姿なんて初めて。


思わず目を見張ってしまった。


「そうよ? 見直した?」

「……うん、すごい」


家で食べていたような派手なものではないし、田舎料理のような素朴な感じだけれど。


「野菜ばかりで薫子には申し訳ないわ」


そんなことは全然ない。

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