薫子様、一大事でございます!
「銀さんも同じだし」
「……滝山の携帯もなんです」
肩身が狭い。
「カコちゃんの両親の家に掛けても、誰も出ないときてるし」
……多分、三人揃って畑だ。
「本当にごめんなさい」
「ま、いいんだけどね」
北見さんは腰に手を当てて溜息を吐いた。
本当に“いい”という顔はしていないけど……。
「もう帰って来ないんじゃないかと」
「……はい?」
「そう思ったよ」
北見さんの穏やかな眼差しが向けられる。