薫子様、一大事でございます!
目覚めた拾いモノ
どこからか聞こえる物音。
漏れる呻き声。
それを意識の狭間で聞いていた私は、ハッとして目を開けた。
急いで体を起こすと、意識を取り戻しつつあるのか、夕べの男の人が向かいのソファでモゾモゾと体を動かしていた。
「ね、滝山! 滝山ったら!」
ソファを背もたれにして床に寝ていた滝山を揺する。
「……はぁ、何でございましょうか」
ねぼけ眼をこすりつつ、大きな欠伸をひとつした。
「ほら、目を開けそうなの」
私が指差した先に気付き、私同様ハッと我に返る。