薫子様、一大事でございます!
視線が重なったことで、鎮まっていた鼓動が再加速を始めた。
それを悟られたくなくて
「ちゃ、ちゃんと帰りますよ。だって、モモとクロが心配ですから」
茶化して答える。
「モモとクロが、ね」
ふーんと北見さんが頷く。
「……寂しかったですか?」
恐る恐る、でも冗談めかして聞いてみる。
「まあね」
北見さんから肯定の言葉が返ってくるとは予想もしていなくて。
「えっ……」
言葉に窮してしまった。