薫子様、一大事でございます!

恐る恐る聞く私に、北見さんはガシガシと自分の頭を掻き回して


「……二日酔い」


ボソッと呟いた。


なんだ、よかった。
二日酔いね。


「あんなに飲むからです」


空の缶が並ぶテーブルを指差した。


「……人の気も知らずに」

「はい?」

「いや、何でもない」

「私がお風呂から上がって出たら、全部飲み終えてソファで満足気に寝てるからビックリしました」

「……満足気? 不満そうの間違いじゃなくて?」

「はい……?」

「……何でもない」


顔を覗きこんだ私を手で払う。


< 370 / 531 >

この作品をシェア

pagetop