薫子様、一大事でございます!
言われてみれば……。
北見さんの寝方は、私をベッドに下ろしてそのままダウンしたような格好だった。
「……すみませんでした」
「いいえ、どういたしまして。カコちゃんの世話は、もう慣れっこだ」
お世話って……。
なんだか、手の掛かる子供みたいじゃない。
「あれれ? 何か不満?」
北見さんがいたずらな目をしてからかう。
「……別に不満なんて」
そう答えたものの
「ほぉ。それじゃ、この尖った唇は?」
「――っ」
ちょんと唇を突かれて、心臓がひっくり返るんじゃないかと思うほど驚いた。