薫子様、一大事でございます!
その声に反応して、静かに開いたドア。
「失礼しまーす」
入ってきたのは、胸元の大きく開いた黒いワンピースを着た、派手なタイプの女性だった。
ゴージャスに巻かれた金色の長い髪。
バッチリメーク。
その容姿に目を見張ってしまった。
……あれ?
どこかで会ったことがあるような……。
見覚えのある顔をしげしげと観察する。
「薫子ちゃん、こちらは矢神麻紀さん。麻紀ちゃん、こちらが話していた二階堂薫子さんだよ」
お互いに頭を下げる。
「同じマンションに探偵事務所があったなんて知らなかったわ」
「……はい?」