薫子様、一大事でございます!
同じマンションに?
ということは……
「麻紀ちゃんもここに住んでるんだよ」
どこかで会ったことがあるような気がしたのは、そのせいだったんだ。
何度かすれ違った記憶はあったのだった。
「それじゃ……」
水商売をしている住人がいると言っていたのが、麻紀さん?
私の言いたいことが分かったのか、芙美さんは「そうだよ」と頷く。
麻紀さんは、その隣で人懐こい笑みを浮かべていた。
「依頼があるというのが麻紀さんなんですか?」
大きなバッグを事務所の隅に置き、芙美さんと麻紀さんの前へ座った。
「おや、北見さんから何も聞いていないのかい?」