薫子様、一大事でございます!
「あのぉ……本題に戻してもいいですか?」
滝山の件にも私の両親にも全く関わりのない麻紀さんが、私たちの顔を見回して言った。
「あ、ごめんなさい。どうぞ」
右手を返して先を促す。
「ストーカーから守ってほしいの」
「――ストーカー!?」
北見さんと声が被る。
「そういうことなら警察に相談した方がいいんじゃないですか?」
私もそう思う。
北見さんの言葉に私も頷いた。
「もちろん行ったわ。でも相手にもしてくれなかったの」
麻紀さんが吐き捨てるように言った。