薫子様、一大事でございます!
「後をつけられてるような……いつも見張られてるような……」
一つ一つ確かめるように麻紀さんが言う。
確信はないらしい。
「勘違いということもありますが」
「勘違いだなんて! 絶対にストーカーなの!」
麻紀さんは突然声を荒げた。
「時々玄関に花も置かれてるし」
「花ですか?」
「ええ、そうよ。立派なものじゃないけど、花束が」
……それって、本当にストーカー?
北見さんと私は顔を見合わせた。
後をつけたり、見張っていたりとかいうことなら分からなくもないけれど。
今時のストーカーは花束のプレゼントもするのかしら。