薫子様、一大事でございます!
「とにかく、お金に糸目はつけないわ。気味の悪いストーカーを撃退してもらいたいの。そうじゃないと、外もうかうか歩けないわ」
身を乗り出して迫る麻紀さんに、私も北見さんも圧倒されてしまった。
どうしますか? という意味を込めて北見さんを見る。
そして、しばらく考え込んだ後、北見さんは「わかりました」と答えたのだった。
「撃退できるかは別として、ストーカーの調査はしましょう」
「調査? そんなことをしている暇なんてあるの? 私の身に何かあったらどうするの?」
「ですが、相手のことはおろか、確信も持てないのであれば、調査をしてみないことには始まりません」
興奮気味の麻紀さんに北見さんが冷静に諭す。
「もちろん、お引き受けするからには出来る限りのことはしますよ」
その言葉に麻紀さんが考え込む。