薫子様、一大事でございます!

「そんなお仕事をやった経験だってないです」


つい必死になる。


「服なら、私のを貸すわ。仕事は、お客様に合わせて笑っていればやれるから」

「いえいえいえ」


そういうことを言いたいんじゃなくて。

つまりは、私にホステスは無理だということを示したいだけなのに。


「大丈夫だよ、薫子ちゃんなら器量よしだし、人当たりもいいし。案外、お客さんがついちゃったりしてね、北見さん」


ふふふと笑いながら、芙美さんが北見さんに同意を求める。


助けを求めるつもりで見ると、仏頂面に見えなくもない北見さんは何も言わずに腕組みをしていた。


北見さん……?

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