薫子様、一大事でございます!
「おや、どうしたんだい? もしかして、薫子ちゃんを男の魔の手の伸びそうなところにはやりたくないかい?」
えっ……。
芙美さんの言葉に、私がドキリとする。
けれど、北見さんは特別顔色を変えるわけでもなく。
芙美さんの言うことに何か返すわけでもなく。
「それなら、俺が客として店に入りますよ」
全く別の提案をしたのだった。
「それ、いいわね! その方が私も安心だわ」
ということは……
「私はお店に出なくていいってことですよね?」
肯定を期待して聞いたのに。