薫子様、一大事でございます!
「違うわよ」
麻紀さんは敢え無く却下。
「はい?」
「薫子さんと北見さんの二人が、私と一緒に店に入るってことよ」
――え!?
私がホステスをやる上に、北見さんも客として店に?
「俺が客としていれば、それで問題はないと思いますが?」
うんうん、その通りよね。
私なんて、いたって役に立たない。
「一人より二人。その方が私も心強いし」
いえいえいえ。
私は足手まといになる可能性大だと思うのだけれど。
「いや、ですが、」
「依頼人のお願いなのに聞いてもらえないの?」
しばらく押し問答が続いた後、結局は麻紀さんの言うことに従うことになってしまった。
北見さんを陰から応援していた私も意気消沈。
身体がソファに深く沈みこむ思いだった。