薫子様、一大事でございます!
「隠すなんてもったいない。一番の武器になるのに」
「武器なんて……」
使う場所もないし。
……使った経験も、ない。
「よし、洋服はこれでいいわ。あとはメークね」
言いながら、麻紀さんは私をドレッサーの前へと連れて行った。
「そこに座って」
「……はい」
「ちょっとじっとしててね。すぐに終わるから」
ノーメークではないけれど。
太いアイラインにバサバサの付けまつげという麻紀さんに比べたら、地味な私。
その薄いメークの上に、どんどん重ね塗りをしていく麻紀さん。