薫子様、一大事でございます!
もう既に気づいているかと思うけれど、ここは探偵事務所。
私の名前は二階堂薫子(にかいどう かおるこ)。
歳は27歳。
この事務所の一応、代表だ。
構成人員は、目の前で落胆している滝山と私の二名のみ。
さっきも言った通り、猫を探してほしいという依頼すらまともにこなせていない、実績ゼロの探偵事務所なのである。
「ねぇ滝山、今度こそ見つけられるかしら……」
「そうですねぇ……」
滝山もやはり不安らしい。
今度は二人揃ってため息を吐いてしまった。
「ちょっと顔を洗ってきます」
うーんと唸った後、滝山は洗面台の方へと歩いていった。