薫子様、一大事でございます!
緊張のホステスデビュー?
開店を控えた店内は、照明が落とされて薄暗い状態だった。
奥から黒いスーツを着た細身の男性が出てくると、麻紀さんは「店長、こっちこっち」と気さくな感じで呼び寄せた。
年齢は40代くらい。
柔和な笑顔で私の前で軽く会釈。
「彼女がさっき話した薫子さんです」
麻紀さんが紹介してくれると、スッと手を差し出してきた。
「店長の寺脇です」
「か、薫子です」
必要以上に緊張してしまう。
出された手をとりあえず握った。
寺脇さんと名乗った店長は、私と手を離すと一歩後退して上から下まで私をじっくり眺めた。