薫子様、一大事でございます!

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「荒野社長! 随分とご無沙汰じゃないですかぁ」


指名の入ったテーブルへ麻紀さんと向かうと、そこには恰幅のいい白髪の男性が座っていた。


麻紀さんが、飛びつく勢いでお客の隣に座る。


「いやぁ、悪かったね。仕事で海外へ行っていたから」

「本当にお仕事? 奥様とご旅行だったんじゃないですか?」

「おいおい、拗ねるなよ」


すっかり二人だけの世界を築き上げる。


えっと……私は……。

どうしたらいいのか分からずにオロオロとしていると


「社長、こちらは今日から入った薫子です」


突然紹介されて、オドオドと頭を下げる。

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