薫子様、一大事でございます!
「ここでは、初めてのお客にはナンバーワンを付けるの。次回も来店してもらうためにね」
「……そうですか」
彼女、ナンバーワンなんだ。
更に落ち込む。
「北見さんがそんなに気になるの?」
「あっ、いえ、別にそういうわけじゃ」
「またまたぁ。お客がトイレに立ったのも気づかないくらい見ていたくせに」
麻紀さんに肩先を突かれて、何も反論できなかった。
「そんなに気になるなら、北見さんに薫子さんを指名してもらえばいいんじゃない? 私が言ってこようか?」
「いえっ、いいんです。本当に違いますから」
いくら否定してみても、麻紀さんはニコニコ笑うばかり。
そうすればするほど、顔は火照っていく一方。