薫子様、一大事でございます!
ふと北見さんの方を見ると――……
――あれ?
姿が見えない。
トイレにでも行ったのかしら。
そう思いながら待ってみるけれど、一向に戻る気配はない。
どうしたんだろう。
「ちょっと失礼します」
携帯で連絡を取ってみようかとテーブルを離れた。
裏に回って携帯を開く。
すると、メールの着信を告げるメッセージが記されていた。
……北見さんからだ。
“悪いが急用ができたから先に帰る”
本文に一言そう書かれていた。
急用?
一体何があったんだろう。
不思議に思いながら席に戻ったのだった。