薫子様、一大事でございます!
……なるほど。
「他の女の子に取られちゃうから、たまには付き合うけどね。荒野社長、オイシイお客さんだから」
最後の一言は小さく囁いた。
夜の世界もなかなか大変なんだ。
そんな駆け引きもしなくちゃならないなんて。
「薫子さん、意外とホステスに向くかもしれないわ」
「はい?」
「天然を売りにした癒し系キャラで」
天然を売りに……?
首を傾げる私を見て、麻紀さんはキャハハと笑うのだった。
「ところで、北見さんはどうしたの? 途中から姿が見えなくなったけど」
「私もよく分からないんですが、何でも急用が出来たとかで……」