薫子様、一大事でございます!
言い終わるより早く電話は切られてしまった。
「北見さん? どうかしたの?」
「よく分かりませんが、事務所へ寄るようにって」
麻紀さんと別れて向かおうとすると
「私も行くわ」
麻紀さんも私の後についてきたのだった。
午前1時過ぎ。
こんな時間に一体どうしたんだろう。
不思議に思いながら、事務所のドアを開ける。
「ただいま戻りました」
「あぁ、カコちゃん、悪かっ――」
私の後ろから中へ入った麻紀さんを見て、なぜかギョッとする北見さん。
「何かあったんですか?」