薫子様、一大事でございます!
「僕は、このマンションに住む吉池と申します」
――え!?
驚いて北見さんを見ると、北見さんはうんと頷いた。
既に事情聴取済みらしい。
芙美さんは、このマンションには私たちと麻紀さん以外にもう一人の住人がいると言っていたけど。
確か……
「浪人生さん、ですか?」
聞いた私に「はい」と答えた。
麻紀さんは見かけたことがあったものの、吉池と名乗った浪人生の顔を見たのは、今夜が初めてだった。
「それで、どうして麻紀さんにストーカー行為なんてしたんですか?」
「ですから、ストーカーなんかじゃないんです」
「麻紀さんの後を付け回したり、見張っていたりしていたんですよね?」