薫子様、一大事でございます!
「麻紀さん、ちょっと落ち着きましょう」
麻紀さんの背中をトントンと軽く叩く北見さん。
「彼は、悪意を持って、こんなことをしたわけではなさそうです」
「悪意がなければ、何をしてもいいの?」
「そうではありませんが」
「陰でコソコソとされるのは気味が悪いのよ。花束だってそう」
麻紀さんは自分の膝を握りこぶしで叩いた。
「麻紀さんが花を好きだと知って、よかれと思ってやっていたことです」
「え?」
「普段からよく花屋へ出入りしていました?」
「……ええ、まぁ」
「それを見て、彼は花を贈っていたようです」
「だから、それが気味が悪いっていうのよ」