薫子様、一大事でございます!
「……わざとどっちもブラックにしてたら?」
えっ……。
どういう……こと?
かすかに鼓動が高鳴る。
北見さんが珍しく真っ直ぐ私を見るから、都合のいいように考えてしまう。
「……あの、――ッ」
突然、北見さんが私の額を指で弾いた。
「そんな顔すんな」
「はい……?」
「……しそうになる」
え?
何て言ったの?
声が小さすぎて聞こえなかった。
「北見さん、」
「ほら、砂糖入れるから貸せ」
「あ、はい……えっと……」
どっちを出せばいいのか迷っているうちに、北見さんが一つを手にしたのだった。