薫子様、一大事でございます!
第6章
事件は忘れた頃に
「北見さん、お手柄だったねー」
芙美さんが喜び勇んで事務所へ来たのは、大捕り物劇(?)があった翌々日の朝のことだった。
詳しい話も、麻紀さんから既に報告があったらしい。
「やっぱりここに連れてきてよかったよ」
芙美さんが、よっこいしょとソファに腰を下ろす。
「みたらし団子だよ。一緒に食べようと思ってさ」
包みを開いた。
「わぁ! 美味しそう! いつもありがとうございます」
滝山がいたら、私以上に喜んだだろうな。
そんなことを考えながら、3人分のお茶を用意し始めた。
モモとクロも、“美味しいもの”というのを聞きつけたのか、鼻をクンクンさせながらテーブルへ顔先を近づけていた。